将棋名人戦第6局2日目ダイジェスト

森内名人記者会見(午後9時50分) 対局生中継はこちらから ――改めて防衛の感想を 「4月の上旬に始まりまして、長いシリーズだったんですけれども、今日の6局目で防衛することができまして、今終わったばかりであまり実感はわかないですけど、とにかく戦いが終わってホッとしています」 ――この七番勝負は初戦に勝った後、挑戦者と交互に勝つ流れだった. 6局を振り返って 「そうですね. 5局目まで先手番の勝ちが続く展開で、息が抜けない展開でしたけど、自分が勝つ時は何とかギリギリで勝つという感じで、逆に負ける時は途中で差がついてしまって大差で負けるという将棋が多かったんで、そういう意味では安定感の差を感じてましたし、最後まで厳しい戦いが続くだろうということは思ってましたけど、何とかそういう中で今日の将棋を勝つことができて、結果を出すことができて良かったと思います」 ――七番勝負にどのような心境で臨んだか 「去年の秋口ぐらいからずっと勝てない時期が続いていまして、そういう中で名人戦を迎えることになりまして、自分の中でも厳しいシリーズになるだろうなということは覚悟してましたし、羽生さんの方はA級順位戦で全勝するなど、すごく充実している印象がありましたので. まあ何とか、そうですね、状態も違いますので、いい勝負をしていって、1局でも多く指して進めていきたいというのが正直な気持ちでした」 ――名人獲得は通算7期目となる. その感想を 「名人位の獲得数では、私の上にいらっしゃるのは、時代を作った偉大な先輩方ばかりですので、なかなか自分とは比較できないですけど、名人戦に関してはこれだけ名人を務めさせていただいていますので、少しでもそういった偉大な先輩に近づけるように精進を重ねてやっていきたい」 ――今後の目標は 「今回のシリーズでもそうでしたけど、将棋を指す度に自分の未熟さというか、理解できていないということを痛感させられるようなことがたくさんありますし、少しでもこの道を極めるというか、一歩でも先に進んでいけるような戦いを目指してやっていきたい」 ――第5局までは先手が5連勝. 今回、先手、後手は意識していたか? 「先手が勝率が高い中、後手番というのは意識していましたし、それを打ち破って勝つのは大変だろうと思っていました. なんとか中盤~終盤まで接戦に持ち込み、勝機をうかがえればと」 ――第6局を逃した場合のことは考えていたか? 「逃したら、それはそれで、次の局を頑張っていくしかないなと思っていました」 ――名人400年の年に防衛できたわけだが、思うところはあるか? 「歴史の重みを感じましたし、大勢の人に支えられて成り立っていることが伝わりました. 地位にふさわしい活躍をしたい」 ――今期は矢倉が3局、角換わり2局となつかしい感じの戦型が多かったが? 「時代が前に戻ってしまったような戦型でしたけど、自分が後手番のときは2手目の84歩をベースにやっていたので、相手がどちらできても対応しようと」 ――今期シリーズの勝因はなんだったと思いますか? 「羽生さんと私は勝ちっぷりも違ったし、厳しい戦いになることは予想していました. 幅広く戦うというよりは、エネルギーを1点に集中して、そこにすべてをかけたことが勝ちにつながったのかなと」 ――ちょっと失礼な質問ですが、開幕前のご自身の防衛確率はどのくらいだと思っていましたか? 「厳しいとは思ってましたが、去年も厳しかったし、最近の将棋界は層も厚く、常に厳しい. その中で活路を見いだせばいいかなと. 計算はみなさんでしてください(笑い)」 ■終局後のミニ・インタビュー(午後8時33分すぎ) 終局直後、主催紙によるミニ・インタビューが行われた. その概要は、以下の通り. 〈勝って防衛を果たした森内名人の話〉 ――角換わりで、これまであまりない対策を採られたと思うのですが、その成算は? 「第2局で似たような将棋をやって、うまくいかなかったので、もう少し… . △4六桂と打つ手に期待をかけたんですけど、ちょっと駒が重たくなってしまったので… . 自信は無かったですが」 ――封じ手の辺りの形勢判断は? 「なんとも言えないかな~、と思って、やってみたんですが、ただ、実際には桂馬を先手で取られるんで. 厳密には、ちょっと辛(つら)いのかな~と思って… 」 ――その後、反撃に転じて、というような展開になりましたが 「どちらも手がつくと、すぐに詰んでしまう形なので. 最後まで、良いという感じはしてなかったですね」 ――最後、勝ちを確信したのは? 「最後、▲5五馬を見て、勝ちかな、と思いました」 ――シリーズ4勝2敗で名人防衛の感想を 「終わったばかりで、実感が湧かないですけど. 結果を出すことが出来て… 」 〈負けた羽生挑戦者の話〉 ――角換わりの作戦は予定どおり? 「これで行こう、と思っていました」 ――途中までは第2局と同じ展開で、名人が△4六金と打ってから、その後の対策があったんですが、それに対する印象は? 「指されてみると手厚い、というか. 飛車角が抑え込まれた形になってしまったんで. 手を作るのが難しかったですねえ」 ――封じ手の辺りの成算は? 「難しいと思ってたんですけど. ただ、(80手目)△7五歩と打たれて、あの局面でちょっと悪くなったかなあ、と思ったですねえ」 ――本譜の順に変えて、こう指しておけば、という手はありますか? 「ちょっと分からないですけど、かなり遡(さかのぼ)らないといけないのかもしれないですねえ」 ――(80手目)△7五歩とかではなく? 「そうですね. ちょっと、どこか分からないですけど. 気が付いたら、もう悪くなっていたですねえ」 ――(80手目)△7五歩以下も、形勢好転を目指して手段を考えたと思うが、「それまでより難しくなったな」と感じる局面はあった? 「いや! ちょっとずつ悪いと思ってたんで. 好転したと思ったところは無かったですねえ」 ――シリーズ2勝4敗で奪還は成らなかったが? 「まあ、残念ですけど. 力が足りなかった、というところですかねえ」 最後の羽生の言葉は、非常に残念そうに聞こえた. この後、両対局者は、本局を振り返る「感想戦」に入った. 感想戦は午後9時38分ごろ終了. 1時間ほどだった. (佐藤圭司) ■掛け軸のメッセージ(午後7時) 対局室の床の間には、詩聖といわれる唐の詩人、杜甫の詩「贈花卿(花卿に贈る)」がかけられている. 錦城絲管日紛紛 半入江風半入雲 此曲祇応天上有 人間能得幾回聞 ホテルの担当者によると、「錦城の街に日ごと弦や管楽器の音色が流れ、その音は風に乗って川の上へ、あるいは青空の雲へと達する. このような美しい曲は天上にのみあるもので、庶民は生きているうちに何回聞くことができるだろう」といった内容という. 優雅に聞こえるが、実は違うようだ. 乱を平定したものの、おごり高ぶるようになった武将に対する戒めの意味が込められているのだという. 最終盤を迎え、いっそうの緊張感の中で戦う両対局者には無用の戒めだろうが、正しく戦う者の持つべき心構えが伝わってくる. (小川雪) ◇ 朝日新聞デジタル有料会員は、将棋のトップページ(http: //stratusteam.com/shougi/)から棋譜中継と「ニコニコ生放送」の生中継をご覧になれます. また、対局の模様は有料の名人戦速報サイト(http: //www.meijinsen.jp/)でも速報しています. ■熱戦の小休止(午後6時) 日差しがかげり始めた午後6時、30分間の休憩に入った. 対局室から最初に羽生挑戦者が、続いて森内名人が出てきた. 2人とも虚空を見つめるように、どこともなく視線を送りながら、ゆっくりと屋外の通路を歩き、休憩のための控室に入った. 日中の熱を余した夕方の風が、つかの間の小休止に向かう2人をなでてゆく. 2人に運ばれた軽食は、森内名人がサンドイッチと紅茶. ハム・キュウリ・レタスとトマト・タマゴの2種類. 葉つきのラディッシュが添えられている. 羽生挑戦者はおにぎりとオレンジジュースで、具はおかかとめんたいこと塩昆布. 梅干しと塩昆布が添えられた. 2人とも、夕方の軽食は第2局以降、名人がサンドイッチ、挑戦者がおにぎりで続いている. (小川雪) ■際どい戦い(午後5時15分) 両者、熟慮が相次いでいる. 1日目で75手進んだが、2日目はまだ12手しか進んでいない. 名人が80手目△7五歩から反撃に転じ、「後手優位」の声が高まっていたが、現在は「際どい勝負になった」と言われている. 日本将棋連盟の非常勤理事として訪れた深浦康市九段は「これはもうどちらが先に相手の玉を寄せるか、という勝負になりました」と話す. 読みが上回っているのはどちらなのだろうか. (村瀬信也) ■意外? な共通点(午後5時) 解説の棋士や記者、関係者らが詰める控室には、今回、福岡県糸島市在住のマンガ家、鈴木大四郎さん(35)が取材で訪れている. この春から、月刊チャンピオン(秋田書店)で、中学生棋士が主人公の「ナリキン! 」を連載中. 天才棋士・成金歩(なりがね・あゆむ)が、ひょんなことからプロサッカーチームで活躍する、将棋とサッカーの異色のコラボレーションマンガだ. これがデビュー作で、次号の8月号が第4話となる. 将棋が好きな鈴木さんだが、小学校時代に父親と少し指したくらいで、実はそんなに詳しくない. サッカーが好きで、新連載の案を練っていたところ、将棋との組み合わせを思いついた. 「将棋もサッカーもいろいろな種類の陣形があり、最初に整えた陣形から崩れていくところも共通する. 持ち駒を使うのと、サッカーで新しい選手を交代で投入できるのも、似ている感じがして」と鈴木さん. 実際に棋士に会い、個性の強いキャラクターにもひかれたそうだ. マンガの監修は、大のサッカーファンの野月浩貴七段. 特に欧州の強豪、バルセロナの大ファンだ. 「将棋の駒もサッカーの選手も、ポジションで役割が決まっている. ゴールの感覚も、詰みと似ています」. サッカーのハイレベルな作戦やプレーの思考は、自分の将棋にも生きているという. 野月七段も昨日、北九州を訪れて、鈴木さんと一緒に名人戦を観戦した. 鈴木さんは将棋の対局を実際に見るのは初めてで、「それが名人戦になるとは」と興奮気味. 2日目も対局室で熱心に写真を撮り、「ものすごい緊張感ですね」と話した. 「ナリキン! 」の主人公の目標は名人だ. 「今回取材した名人戦の場面は、今後、マンガに登場する予定です」と鈴木さん. この熱戦がどのように描かれるのか、楽しみだ. (小川雪) ■おやつは一緒(午後3時) 午後3時、2人におやつが運ばれた. きょうは2人とも、フルーツの盛り合わせ. スイカにメロン、グレープフルーツ、ブドウに、ミントの葉があしらわれている. 羽生挑戦者はホットコーヒーをつけた. 巨大なスプーンの先のような形のお皿もおしゃれ. 昨日のおやつをのせたお皿も、流線形の凝ったフォルムや色づかいだった. 9×9のマス目の盤上に没入する両対局者の目にも、ちょっと気分転換になるかもしれない. (小川雪) ■対局再開(午後1時30分) 午後1時29分、羽生挑戦者が対局室に戻ってきた. ポケットに両手を入れるようにはかまに手を入れ、体を前後に揺らして盤を見つめる. 午後1時30分、森内名人が戻らないまま、記録係の折田三段が対局再開を告げた. ほどなく「羽生先生、残り2時間30分です」と声をかけ、羽生が「はい」と短く答えた. 1時32分に名人が入室. いよいよ、正念場となる午後の対局が始まった. (小川雪) ■昼食休憩に(午後0時30分) 羽生挑戦者が81手目を考慮中に昼食休憩に入った. 消費時間は挑戦者6時間29分、森内名人4時間40分. 挑戦者が長考を繰り返したため、消費時間に大差がついた. 午後1時30分に再開する. 昼食の注文は挑戦者が海鮮丼、名人がビーフカレーだった. これまでの対局でもそれぞれ注文したことがあり、お気に入りのメニューと言えそうだ. (村瀬信也) ■熱気漂う対局場(午前10時31分) 封じ手開封後、森内名人が3分の少考で△2二金と受けたのに対し、羽生挑戦者はノータイムで▲5一竜. 検討では▲1一竜と香を取る手が盛んに並べられていた. ここで森内名人は1時間18分の長考の末、△3二金右と応じた. この局面で迎えた午前10時31分、羽生挑戦者が記録係の折田翔吾三段に声をかけ、折田三段はエアコンのリモコンを操作した. 室温を下げたようだ. そう言えば、対局場に両対局者が現れる前の午前8時41分、立会人の大内延介九段は周囲に「今日は暑くなりそうだね」と話しかけていた. 今朝の朝日新聞の朝刊には、第94回全国高校野球選手権の地方大会の展望記事が盛り込まれていた. 夏近し、と感じる. 春に始まった名人戦も、夏の訪れとともに、クライマックスが近づきつつある. (佐藤圭司) ■2日目の戦い始まる(午前9時) 2日目の朝は、2人とも落ち着いた表情だ. 午前8時55分から、記録係の読み上げで1日目の指し手が並べられた. 午前9時5分、立会人の大内延介九段が、封じ手の入った封筒にはさみを入れた. 羽生挑戦者が封じた75手目は▲2一飛成. 2人は改めて一礼し、戦いが始まった. (小川雪).

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